「新宿歌舞伎町春画展WA」は、「歌舞伎町から日本文化を発信する」ことを目標に掲げる
Smappa!Groupが主催する、春画展のシリーズ企画です。
「笑い絵」として親しまれ、江戸時代の人々は、春画をみんなで笑い合いながら楽しんでいました。
そこにはきっと、人間のおもしろさや、おかしみが凝縮されているのでしょう。
歌舞伎町もまた、流れ着いた者を拒むことなく受け入れ、日夜、さまざまな人生が行き交う場所です。
人間らしさ、人間臭さにあふれ、人間の愛おしさを肯定するこの街は、
春画の世界と地続きなのかもしれません。
「WA(わ)」には、いくつかの意味を重ねています。
ひとつは、「和」。
日本文化の和であり、心の平和。
ひとつは、「輪」。
人が集い、語り、笑い合うことで生まれるつながりの輪。
そしてもうひとつは、「笑い」の「わ」。
新宿歌舞伎町春画展WAは、春画を中心に、人と街と文化がゆるやかにつながり、ひらいていく場でありたいと考えています。ここから、新しい「WA」が生まれることを願って。
見るのはちょっと照れるけれど、美しく、どこか可笑おかしくて、つい惹ひきこまれる春画。男も女も、庶民も大名も、性別や身分を越えて江戸の人びとを夢中にさせました。 「笑い絵」「わ印」とも呼ばれ、ひとりで密かに楽しむだけでなく、仲間と囲んで笑いあったり、読み解いたりする娯楽でもありました。 春画は、日々の暮らしに息づく、想像力の遊び場だったのです。
一方、浮世絵師たちにとっても春画は大切な表現の場でした。喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川国芳に至るまで「春画を描かなかった浮世絵師はいない」と言われるほど、春画は浮世絵の大きな側面を成します。
雅と俗が共存する江戸文化のなかで、江戸幕府から禁制品とされたことを逆手にとった浮世絵師たちは、春画に自身の技術とユーモアを存分に注ぎ込みました。
春画には、漢詩や和歌、古典文学を題材にした作品も数多く見られます。目で見る愉しさのみならず、浮世絵師たちが巧みに織り込んだ「やつし」や「見立て」を読み解く、知的好奇心を掻き立てました。
春画は、単なる性的描写ではなく、日本文化が重なり合う、文化の「わ」をかたちづくっていたのです。
そんな春画が、世界随一の歓楽街・新宿歌舞伎町のど真ん中「新宿歌舞伎町能舞台」に現れます。きらめくネオン、雑踏、飲み屋、ナイトクラブ、ホストクラブ、ラブホテル…日々、多様な人生と欲望と幻想が混じり合うこの街は、まさに、人間くさい遊び場で、春画の世界と地続きにある場所かもしれません。
欲望と幻想に包まれた能舞台へのエントランスは、まるで江戸時代につづく参道のよう。一歩、会場の中に足を踏み入れると、江戸時代の文化と現代のエネルギーが交差する体験が広がります。
ジェンダーや国籍、職業、宗教……あらゆる違いをほどき、菱川師宣、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川国芳など江戸時代の浮世絵師たちが描いた春画の世界をどうぞお愉しみください。
ここからはじまる、新しい「わ」の世界へようこそ。

春画は「笑い絵」「わ印」として親しまれ、江戸時代の人々は、みんなで笑い合いながら楽しんでいました。そんな江戸時代の明るく開かれた春画体験を通じて、しばしの間、現(うつつ)を忘れ、江戸の人々がそうだったように、肩の力を抜いて、たくさん笑っていただけたら嬉しいです。時代や価値観を超えた笑いの「わ」を広げたいと思います。

江戸のさまざまな時期の春画を展示することで、色、画面構成、モチーフ、技術などの変遷をお楽しみいただきます。さらに春画の解説はもちろん、時代背景の解説なども多数ご用意し、春画/江戸文化/日本文化に対する学びを提供します。

歌舞伎町は来るものを拒まず、訪れた者を良い距離感で迎えてくれる町です。江戸の町も、幕府直轄の主要な5つの街道である「五街道」が整備され、各所に宿場町が栄えるなどし方々に開かれていました。「甲州街道」に設けられた「内藤新宿」は、現在の新宿の由来です。本展は、春画、そして江戸が持つ「開かれた」性質を現代の文脈に引き継ぎ、性別やジェンダー、年齢に職業、国籍や宗教など、あらゆるボーダーを超えて繋がる「輪」、心の「和」などさまざまな「わ」を生み出す場を目指します。
幼少のころよりコレクターであった父、浦上敏朗(山口県立萩美術館・浦上記念館 名誉館長)の影響で古美術に親しみ、繭山龍泉堂での修行を経て1979年浦上蒼穹堂を設立。数々の展覧会を企画・開催し、日本の美術商として初めて1997年から11年間ニューヨークで「International Asia Art Fair」に出店し、Vetting committee(鑑定委員)も務めた。また2013年大英博物館で開催された春画展では「Shunga in Japan LLP」を設立し協力、2015年永青文庫での春画展開催に向けて尽力した。「北斎漫画」蒐集においては現在、質・量ともに世界一のコレクションといわれている。国際浮世絵学会常任理事、東洋陶磁学会特別会員。
http://www.uragami.co.jp/
歌舞伎町でホストクラブ、BAR、飲食店、美容室など20数軒を構える「Smappa! Group」の会長。1977年、埼玉県生まれ。歌舞伎町商店街振興組合常任理事。JSA認定ソムリエ。96年から歌舞伎町で働き始め、ナンバーワンホストを経て、独立。ホストのボランティア団体「夜鳥の界」を仲間と立ち上げ、深夜の街頭清掃活動をおこなう一方、NPO法人グリーンバードでも理事を務める。2017年には歌舞伎町初の書店「歌舞伎町ブックセンター」をオープンし、話題に。2018年12月には接客業で培った“おもてなし”精神を軸に介護事業もスタート。近著に、『新宿 歌舞伎町』(幻冬舎)がある。
2005年に結成したアーティストコレクティブ、Chim↑Pom from Smappa!Groupのメンバー。東京をベースにメディアを自在に横断しながら表現活動を続け、海外でもさまざまなプロジェクトを展開、世界中の展覧会に参加する。2015年、Prudential Eye AwardsでEmerging Artist of the Yearの最優秀賞を受賞。2022年には森美術館にて回顧展を開催。その作品はグッゲンハイム美術館やポンピドゥセンターなどをはじめとした国内外の美術館に多くコレクションされている。
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